新NISAでは、保有している資産を売却すると、非課税投資枠が復活して再利用できます。
ただし、売却すればすぐに枠が戻るわけではなく、年間投資枠との違いも理解しておく必要があります。
この記事では、非課税枠が復活するタイミングや仕組み、知っておきたい注意点を解説します。
- 新NISAの非課税枠が復活する仕組み
- 枠の管理のしくみ(買付残高とは何か)
- 売却時に気をつけたいポイント

草野みゆ
- 元メガバンク行員
- FP2級・AFP・証券外務員一種
- 金融ライター・編集者
- 『いまから始める新NISA』執筆
行員時代は年間1000人以上の資産運用相談を担当。現在は金融ライター・編集者として活動し、新NISAや資産形成を中心とした記事を執筆しています。
NISAの非課税枠、2種類の上限を理解しよう

新NISAには、2種類の上限額があります。
年間投資枠
1年間に投資できる上限額です。
- つみたて投資枠:120万円
- 成長投資枠:240万円
- 合計:年間最大360万円
非課税保有限度額
生涯を通じて非課税で保有できる上限額です。
- 合計1,800万円
- うち成長投資枠は1,200万円まで
この2つは別々に管理されています。
年間投資枠は使い切れなくても翌年へ繰り越すことはできません。例えば、つみたて投資枠を年間50万円しか利用しなかった場合でも、翌年の投資枠が170万円になるわけではありません。
一方、非課税保有限度額(1,800万円)は、売却すると枠が復活して再利用できます。これが新NISAの大きな特徴のひとつです。

売却した枠はいつ戻る?

現在のルールでは、売却した分の非課税保有限度額は翌年に復活します。
| 売却した年 | 枠が復活する年 |
|---|---|
| 2025年 | 2026年 |
| 2026年 | 2027年 |
例えば、2026年に100万円分の資産を売却した場合、その100万円分の非課税保有限度額は2027年に再び利用できるようになります。
なお、売却によって復活するのは非課税保有限度額であり、その年の年間投資枠が増えるわけではありません。
また、売却した年のうちに枠を再利用できる「当年復活」については、制度改正を求める声もありますが、2026年6月時点では正式に決定されていません。
制度改正が行われた場合は、本記事でも最新情報を反映します。
枠の管理は買付残高(簿価)で行われる

非課税保有限度額は、購入時の金額(買付残高)で管理されます。
売却時の価格や運用成果は関係ありません。
例えば、200万円で投資信託を購入した場合、非課税保有限度額の使用分は200万円です。
- 250万円に値上がりしても使用枠は200万円
- 150万円に値下がりしても使用枠は200万円
また、200万円で購入した商品を300万円で売却した場合でも、翌年に復活する枠は300万円ではなく200万円です。
あくまでも購入時の金額を基準に管理されます。
売買するときに気をつけたい3つのこと

枠が復活するからといって、自由に売買すればよいわけではありません。
新NISAは長期・積立・分散投資を前提とした制度です。
① 短期売買を繰り返すと複利効果が薄れる
運用で得た利益を再投資することで資産が増えていく仕組みを複利といいます。
頻繁な売買を繰り返すと、長期運用による複利効果を十分に活かせなくなる可能性があります。
急な資金需要など特別な事情がない限り、短期的な値動きだけで売却するのは避けたほうがよいでしょう。

② 回転売買には注意する
値上がりしたら売る、値下がりしたら買い戻すという回転売買は、思ったような成果につながらないことがあります。
枠が復活する仕組みは便利ですが、「いつでも売買できる」と考えて頻繁に取引することは、かえって投資成績を悪化させる可能性があります。
③ 損切りは慎重に判断する
値下がりした商品を売却すると、その損失を取り戻す機会を失うことがあります。
もちろん投資方針が変わった場合や資産配分を見直す場合には売却も選択肢ですが、一時的な値下がりだけを理由に安易な損切りを繰り返すのは避けたいところです。
年間360万円を使い切る必要はない

新NISAの年間投資枠は最大360万円ですが、無理に使い切る必要はありません。
毎月コツコツ積立投資を続けたり、余裕資金があるときに成長投資枠を活用したりするなど、自分の家計状況やライフプランに合わせた運用が大切です。
非課税保有限度額の1,800万円を超えた分は課税口座での運用となりますが、枠を埋めることよりも、長く継続できる投資を行うことが重要です。
まとめ
新NISAでは、売却によって非課税保有限度額が復活します。ただし、年間投資枠は復活せず、売却した年にすぐ再利用できるわけでもありません。制度の仕組みを理解したうえでの活用が大切です。
- 新NISAの非課税保有限度額は売却した翌年に復活する
- 復活する枠は購入時の金額(買付残高)で計算される
- 年間投資枠(最大360万円)は売却しても復活しない
- 短期売買や回転売買は複利効果を損なう可能性がある
- 当年復活の制度改正については2026年6月時点では正式決定されていない
非課税枠の仕組みを理解したうえで、自分のペースで長期的な資産形成を続けていきましょう。
※本記事の内容は公開日時点の情報です。最新情報は金融庁や各金融機関の公式サイトをご確認ください。



