新NISAを始めようとシミュレーションサイトを見ていると、「利回り3%」「利回り5%」「利回り7%」といった数字が並んでいて、「結局、平均するとどれくらいなの?」と迷ってしまうことはありませんか。
実は、「NISAの平均利回り」という公的なデータはありません。NISAは制度であり、運用成績は購入する商品によって変わるためです。ただし、シミュレーションでは3%・5%・7%といった数字が目安としてよく使われています。
この記事では、NISAの利回りの考え方と、シミュレーションでよく使われる3%・5%・7%といった数字の根拠をわかりやすく解説します。
- 「利回り」の意味と、単利・複利の違い
- シミュレーションでよく使われる3%・5%・7%の根拠について
- 利回り別・期間別にいくらになる計算になるか

草野みゆ
- 元メガバンク行員
- FP2級・AFP・証券外務員一種
- 金融ライター・編集者
- 『いまから始める新NISA』執筆
行員時代は年間1000人以上の資産運用相談を担当。現在は金融ライター・編集者として活動し、新NISAや資産形成を中心とした記事を執筆しています。
NISAの「利回り」とは

利回りとは、投資した金額に対して1年間でどれくらい増えたかを示す割合のことです。たとえば100万円を投資して1年後に103万円になった場合、利回りは3%ということになります。
ここで意識しておきたいのが、単利と複利の違いです。
単利:元本にだけ利益がつく
単利は、最初に投資した元本にのみ利益がつく計算方法です。100万円を利回り3%(単利)で運用した場合、毎年3万円ずつ増えていきます。
複利:増えた分にも利益がつく
複利は、元本だけでなく、それまでに増えた利益にも次の利益がつく計算方法です。NISAで投資信託を積み立てる場合、多くは分配金を再投資する仕組みになっているため、複利効果が期待できます。
期間が長くなるほど、単利と複利の差は大きくなっていきます。NISAは非課税期間に上限がなく、長く運用しやすい制度なので、複利の恩恵を受けやすいと言われています。
NISAの平均利回りは何%?

「NISA全体の平均利回り」といった統一された数字はありませんが、シミュレーションでは目安として3%・5%・7%あたりの数字がよく使われます。なお、これらは金融機関やFPがシミュレーションを行う際によく用いる想定利回りであり、金融庁が「平均利回り」として示している数字ではありません。
それぞれの考え方を見ていきましょう。
3%程度:比較的穏やかな運用を想定した数字
値動きを抑えながら資産を増やしていく運用を想定するときに使われることが多い水準です。リスクをできるだけ抑えたいケースの目安として用いられます。
5%程度:長期の株式投資を想定したシミュレーションでよく使われる数字
株式を中心に長期で運用するケースを想定した試算で使われることが多い水準です。長期的な資産形成を前提としたシミュレーションでは、目安として採用されることがあります。
7%程度:株式市場の長期的な実績を参考にした数字
株式市場の長期的な実績を参考に、シミュレーションで使われることがある水準です。ただし、これは過去の実績をもとにした参考値であり、将来も同じ利回りになることを示すものではありません。
シミュレーションでは、このような数字を将来の運用成果を予測するための「想定利回り(期待リターン)」として設定します。実際の利回りは毎年変動するため、計算どおりに増えることを意味するものではありません。
毎月3万円を利回り3%・5%・7%で積み立てた場合のシミュレーション

毎月3万円を積み立てた場合、利回りと期間によって将来の資産額は変わります。金融庁の「つみたてシミュレーター」をもとに、20年・30年積み立てた場合の目安を試算しました。なお、以下はあくまで計算上の試算であり、実際の運用成果を保証するものではありません。
| 期間 | 元本 | 利回り3% | 利回り5% | 利回り7% |
|---|---|---|---|---|
| 20年 | 720万円 | 約981万円 | 約1,217万円 | 約1,523万円 |
| 30年 | 1,080万円 | 約1,736万円 | 約2,446万円 | 約3,508万円 |
毎月3万円でも、利回りや運用期間によって将来の資産額に大きな差が生まれます。特に運用期間が長くなるほど、複利の効果が働き、その差はさらに広がる傾向があります。
利回りを左右するのは「商品選び・投資期間・信託報酬」
同じNISA口座で積み立てていても、実際の利回りは人によって変わります。主な要因を整理します。
商品選び(資産配分)
どのような資産に投資するかによって、期待できるリターンや値動きの大きさは変わります。一般的に、大きな値動きを受け入れるほど高いリターンが期待できる一方、損失が出る可能性も高くなります。
投資期間
投資期間が長いほど、一時的な下落を挽回しやすくなり、複利の効果も積み重なりやすくなります。短期間では利回りのブレが大きく出やすい点にも注意が必要です。
信託報酬(運用コスト)
信託報酬は、保有している間ずっとかかり続けるコストです。年0.1%の差であっても、数十年という期間で見ると最終的な資産額に無視できない差が生まれる可能性があります。商品を選ぶときは、信託報酬の低さも確認しておきたいポイントです。
ただし、新NISAの信託報酬は低水準となっています。
よくある質問

ここでは、新NISAの利回りの平均についてよくある質問を紹介します。
- NISAは利回り何%でシミュレーションすればよいですか?
-
正解はありませんが、一般的には3%・5%・7%などの想定利回りで試算することが多くあります。
複数の利回りでシミュレーションすると、「保守的なケース」と「楽観的なケース」の両方を確認でき、自分に合った積立計画を考えやすくなります。
- NISAで毎年7%の利回りは期待できますか?
-
7%は株式市場の長期的な実績を参考にした想定利回りの一つですが、毎年7%ずつ増えることを意味するものではありません。
実際には、相場によって大きく値上がりする年もあれば、値下がりする年もあります。長期で運用するほど短期的な値動きの影響を受けにくくなるため、長期目線で考えることが大切です。
利回りの数字に振り回されないために

シミュレーションの数字を見ていると、「7%で計算した方がお得そうだから、その通りにいくはず」と考えたくなるかもしれません。しかし、利回りはあくまで過去の実績や統計に基づく想定値であり、将来を保証するものではありません。
毎年同じように増えるわけではなく、大きく下がる年もあれば、大きく上がる年もあります。シミュレーションは将来の運用成果を約束するものではなく、資産形成の目安として活用するのが大切です。
長期・分散・低コストという基本的な考え方を意識しながら、自分がどれくらいの期間・金額で積み立てられそうかをシミュレーションで確認してみましょう。シミュレーションは「どの商品を選べばよいか」を決めるためではなく、「どれくらい積み立てれば目標額に近づけるか」を考える目安として活用するのが大切です。
具体的な積立シミュレーションはこちらの記事でまとめています。


参考資料
- 金融庁「NISA特設ウェブサイト」
- 金融庁「NISAを利用する皆さまへ」
