株に興味はあるけれど何をすればいいのかわからない、わからないまま始めて損するのは嫌だと考えてしまいますね。
株の売買をするときに「指値(さしね)注文」と「成行(なりゆき)注文」2つの注文方法があります。
株の買い方や気を付けることをわかりやすく教えてほしい
買い方や具体的な方法もお伝えしますね
株初心者に向けて解説していきます。
この記事を書いた人
この記事を書いているわたしは元メガバンク行員で、お客様のお金に関するお悩みの対応をしていました。家計を見直して資産を増やすためのお金の知識をお伝えします。
株式売買は指値注文と成行注文
株式(ETFを含む)を売買するときには自分で「売り注文」や「買い注文」を出します。
注文の方法は2種類ある
注文の方法は指値(さしね)注文と成行(なりゆき)注文の2種類です。
指値注文 | 株の売買時に値段を指定して注文する方法 |
成行注文 | 株の売買時に値段を指定しないで注文する方法 |
株を売り買いする時の価格を自分で決めた取引か、市場価格変動にまかせるかの違いです。
初心者には指値注文がすすめられている
指値注文は「安全」成行注文は「成立のスピード」が特徴です。
株初心者は想定外のリスクを避けられる指値注文がおすすめです。
価格優先の原則において
・「成行注文」は「指値注文」に優先して売買が成立する
・「指値注文」については安い段階での売り注文、高い値段での買い注文が優先される
指値(さしね)注文は価格を指定
指値注文は自分が希望する価格を指定して発注する方法です。
安心な売買がしたい投資初心者は指値注文を選びましょう。
希望する売買価格を指定する
希望する売買価格を決め、指定して発注します。
買いの場合は上限価格、売りの場合は下限価格を指定します。
注文の仕方の例
A株式を1000円で2000株買いたい
B株式を500円で2000株売りたい
注文するときに価格を自分の希望で指定できることが最大の魅力です。
買い注文は希望の安値で成立する
指値注文の買い注文は希望の価格(安値)を指定して株を購入する方法です。
株価が自分の希望した指定価格に下がった(下落)ときに自動的に成立してお得な取引が可能です。
売り注文は指値以上で成立する
指値注文の売り注文は自分の希望する価格を指定して株を売る(売却)する方法です。
株価が自分の希望して指定した価格まで上昇したときに自動的に成立します。
成行(なりゆき)注文はすぐ売買
成行注文は今の市場価格ですぐに取引を成立させる注文方法です。
価格を指定することなく確実に取引を行います。
今すぐ売買したい時に行う
成行注文は価格を指定することなくすぐに株を売買する方法です。
市場価格で即時で取引が行われるので、取引の成立(約定・やくじょう)が確実ですが市場が動く(市場変動)により価格が上下する(価格変動)の影響も受けます。
値段を自分で指定しない
成行注文は価格を決めずに即時で取引するため確実性があります。
しかし急激な価格変動があると思いもよらない価格で取引される可能性があります。
利用するときは市場の状況や投資目的に合わせて検討しいましょう。
すぐに注文が成立する
成行注文は価格を決めずにスピーディーな取引を可能にします。
ただ市場価格の変動により損失することもあるので慎重に利用する必要があります。
市場の流動性が高いときに適していますが、流動性が低いときには大きな価格差が生じることもあります。
取引前に起こりうるリスクを考えておく必要がありますね
指値注文3つのメリット
指値注文をするときのメリットをお伝えします。
希望の価格で取引できる
指値取引は自分の希望する価格で取引を行うので株価が希望の金額に達した時だけ取引が成立します。
たとえば『株価が現在100ドル』で『自分の希望価格は120ドル』の場合、指値注文を使えば自動的に売却され自分の希望する価格で取引を終えることができます。
取引を自動的に成立させられる
指値注文は自動的に実行されるため常に市場を見守っておく必要がありません。
たとえば、株価が低下して5,000円になるなら買いたいと考えていて5,000円で指値注文の買い注文をしていた場合、その価格になった時に自動的に購入できます。
売るときは希望の価格になると売れる
指値注文であれば希望の価格で確実に取引できるため予測不可能な値動きに対するリスクを減らせます。
市場が急に上下して成行注文では意図していない価格で取引されることがあります。
指値注文3つのデメリット
指値注文をするときのデメリットをお伝えします。
希望の価格にならないと売れない
指値注文は特定の価格での約定を待つので市場価格が自分の希望した価格に達しない限り、取引が成立しないことがあります。
急激な価格変動がある場合、指値注文では取引が成立せずチャンスを逃す可能性があります。
売買のチャンスを逃すかもしれない
指値注文は一定の価格で約定(取引の成立)を待つので市場が指定価格に達しない限り、注文が一切行われない可能性があります。
市場が一定期間動かないときなどは取引が行われない可能性があります。
損失が発生する可能性がある
指値注文は希望した価格での約定を待つので、市場価格が急激に変動すると指定価格に到達せず予想外の価格で取引が成立するリスクがあります。
市場の不安定さや大きなニュースが影響する場合に損失が発生する可能性があります。
成行注文のメリット
成行注文のメリットをお伝えします。
すぐに売買できる
成行注文はすぐに売買ができ即座に取引が成立します。
自分の希望の価格を決めて取引をするのではなく、指定価格を決めずに市場価格で即時に売買が行われます。
指値注文のように特定の価格を待つ必要がないため市場の変動に対する影響をうけにくく、素早い対応が可能です。
成行注文のデメリット
成行注文のデメリットをお伝えします。
高値で成立してしまうかもしれない
成行注文は市場価格ですぐに取引が行われるためその時点での価格での取引成立となります。
急激な価格変動があるときは予想外の価格で取引が成立するリスクがあります。
特に市場が不安定なときや大きな注文量がある場合、価格の変動が大きくなる可能性があります。
投資初心者は成行注文で失敗が多いので注意が必要です
スリッページが発生するかもしれない
成行注文はすぐに取引が成立することを優先します。
市場の取引量や流動性の状況によっては注文が大きくなると希望する価格と実際に取引が成立した金額の差額(スリッページ)が大きく乖離する可能性があります。
スリッページ:希望する価格と実際に取引が成立した金額との差
市場が混乱していたり非常に大口の注文時に発生することがあり、取引結果が予想と異なることがあります。
たとえば株価が500円の場合
520円までなら買ってもいいけどそれを越えた価格は買いたくないよ
そんなときは・・・成行注文はなく520円を指値とする指値注文をします
自分が許容できる価格または最低の価格で指値注文を出すほうが安全です。
指値注文の注意点
自分の希望する価格で取引の成立をしたい場合は指値注文ですが、注意点をお伝えします。
指値注文が成立しなかったら消滅する
指値注文で希望の価格を出しても成立しなかった場合はその注文は消滅します。
注文を出しただけで売買が成立しなかったことから手数料もかかりません。
長い期間の投資予定なら指値注文がいい
長い期間で投資をする予定であれば取引の成立は急ぐ必要がないため、指値注文で希望する価格で株を購入するとよいでしょう。
指値注文では一度注文を出すと、あらかじめ指定した一定期間内に希望する価格に達すると自動的に取引の成立するからです。
逆指値注文という方法がある
「逆指値注文」は通常の指値注文と異なり、自分の希望する価格以上で買いたい場合や希望価格以下で売りたい場合の注文方法です。
指値注文 | 逆指値注文 | |
買い注文 | 〇円以下になれば買う | 〇円以上になったら買う |
売り注文 | 〇円以上になれば売る | 〇円以下になったら売る |
逆指値注文は投資家が取引のリスクをコントロールするための手段の一つとなっています。
たとえば現在の株価が10,000円の場合
9,000円になったら売りたいよ
逆指値注文を9,000円に設定して株価が9,000円に達した場合に自動的に売却する注文をします
市場の状況により株価が9,500円に下落したとしましょう
株価が9,000円に達したため逆指値注文が発動して自動的に売却されます
投資家はあらかじめ設定した価格で自動的に売却することができ株価の急激な下落から損失を最低限におさえることができます。
指値注文と逆指値注文を活用した特殊注文がある
仕事などで日中は投資に時間をとることができない人のための注文方法もあります。
IFD注文 | ・買付注文と売却注文の注文を同時に出し、どちらかが約定されたらもう一方の注文がキャンセルになる注文方法 |
OCO注文 | ・指値注文と逆指値注文の注文を同時に出し、どちらかが成立したらもう一方の注文がキャンセルになる注文方法 ・たとえば決済注文のときに利益を出すための指値注文と損失を拡大しないための逆指値注文を同時にだしておくことができる |
IFDOCO注文 | ・IFD注文とOCO注文を組み合わせた注文方法でリスクコントロール |
それぞれの特徴や使い方を理解して、適切なタイミングで使い分けることが大切です
成行注文の注意点
成行注文は危険と感じる人もいます。
対策を知っていればリスクは軽減できるので取引を行ううえでの注意点をお伝えします。
成行注文はすぐに取引が成立する
成行注文は注文をしてすぐに取引が成立します。
自分が興味を持っている銘柄や持っている銘柄で有利な情報、不利な情報をニュースなどで得た時にすぐに注文ができます。
すぐに取引を進めたいときに活用できます。
成行注文は流れを理解しないと危ない
成行注文は価格がその時点での市場価値に影響されるので、市場が急激に変動するときは希望の価格より高くなったり低くなったりする可能性があります。
そのため市場の流れを理解しておきましょう。
その理解する方法の一つに「板読み」があります。
板読みで値動きを読む
板読みとは価格ごとにどのくらいの売買注文がでているかを示す「板情報」を見て、適切な売買タイミングを読んでいくことです。
引用元:よるかぶラボ
ネット検索などで株価を調べることができるようになりましたが、表示されている株価は最後に取引が成立した価格なので実際に取引できる株価とは限りません。
そのときに『板』に表示されている情報を見ることで注文によってどう株価が動くのか、注文が成立しそうなのかを予測することができます。
寄成(よりなり)注文とは成行注文の1つ
寄成(よりなり)注文とは寄付(よりつき)でのみ成行注文することですが詳しく解説していきます。
寄成注文は条件を付けた注文方法
寄成注文は上場株式の売買のときに寄り付きにのみ成行注文が執行されることを条件とした注文方法です。
取引が成立しなかったときは直ちに注文は失効します。
前場(ぜんば)寄りと後場(ごば)寄りがある
発注のときは前場(ぜんば)寄りと後場(ごば)寄りがあります。
前場(ぜんば) | 午前の取引のこと 午前9時から11時30分まで |
後場(ごば) | 午後の取引のこと 12時30分から15時 |
取引所によって時間帯は若干異なります
・前場寄り付きまでに発注した注文は前場寄り付きのみ有効
・前場終了後から後場寄り付きまでに発注した注文は後場寄り付きのみ有効
・株式取引の注文方法として引けでのみ取引を行うように指定することもできる
寄り付き成り付き注文のメリットは始値で取引を成立させることができることです。
ただし価格が指定できない成行注文なので、いくらで取引が成立するかはその時になるまでわかりません。
初心者はこういう取引がある、という程度にとどめておくほうが無難でしょう。
指値注文と成行注文の使い分け方
基本的に「今すぐに売買を成立させたい!」という確固たる理由がなければ指値注文を選ぶほうが無難と言えます。
それぞれのメリット・デメリットを理解して上手に株の買い注文と売り注文をしていきましょう。
買い注文を入れる時の2つの方法
欲しい価格まで下がったら自動で買う
指値注文を行えば自分の希望価格まで株価が下がった時に自動で株を買うことができます。
注意しなければいけないのは株価がその指値(価格)まで下がらないと株を買うことができないことです。
今すぐに株を買う
どうしても今すぐに株を買いたい場合は成行注文を入れます。
成行で買い注文を入れるとその時に出ている最も低い価格の売り注文に対応します。
ただこの場合は価格の指定はできないので価格の変動を自分で読んで理解しておく必要があります。
もう一つの方法として、売り注文が入っている株の価格より少し高い価格で指値注文を入れることですぐに株を買うことができます。
指値注文で自分で価格を指定しているので、想定外の取引にはなりません。
売り注文を入れる時の2つの方法
「売り注文」も考え方や注文の仕方は「買い注文」と同じです。
欲しい価格まで上がったら自動で売る
希望の価格に指値注文を入れると欲しい価格まで上がったら自動で売ることができます。
今すぐに株を売る
成行注文ですぐに株の取引を成立させることで株を売ることができます。
もう一つの方法として、株価より安い価格で指値注文を入れます。
自分の指定している価格での売りになるので金額を確定できます。
指値注文6つのステップ
株の取引きをする場合は証券会社での口座開設が必要です。
ネット証券で口座を開設するとインターネット完結となり注文が簡単にできるので便利です。
まずはネット証券での口座開設を知りたい人はこちらから
SBI証券での口座開設が気になる人はこちらから
証券会社に口座を開設してからのステップをお伝えします。
株式売買とETF売買の投資商品の選び方を知りたい人はこちらから
7つの選び方と注意点を書いています
売買したい株数を決めます。
基本的に100株単位です。
「指値注文」「成行注文」を選んで設定します。
希望価格があれば指値注文を選択して金額を入力します。
希望価格がなくすぐに成立させたい場合は成行注文にします。
慣れない取引や株の初心者は落ち着いて自分の希望金額を決めて指値注文にしたほうが安全です。
口座には「希望金額×購入したい株数」以上の資金を入れておきましょう。
株を売りたいときは「売り」、株を買いたいときは「買い」を選びます。
いつまで注文を有効にするか、期限を設定しましょう。
口座の区分を「一般」「特定」「NISA」のどれにするかを決めます。
まとめ
指値注文は自分の希望の価格で取引をしたい、想定外のリスクを回避できる安全性重視の人におすすめです。
いっぽう成行注文は今すぐに取引を成立させたい人が向いています。
基本的には注文の成立を急がない限りは指値注文を利用すると良いでしょう。
ただ相場が急変してすぐに株を売買しておきたい人にとって成行注文が便利です。
取引の種類を理解して上手に運用をしていきましょう。