新NISA制度は改悪?改善?新制度の変更点やデメリットを解説

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2024年から始まる新NISAが「改悪?」「デメリットは?」と疑問や心配の声をたまに見聞きします。

 本当に改悪なのでしょうか? 

困っている人

「新NISA」を始めたいと思って調べていたら「改悪」って書いてありました!なぜそういわれるの?

みゆ

「新NISA」の変更点を知ればその誤解は解けますよ

現行NISAとの変更点やデメリット、活用方法を理解してどのようにすれば新NISAで有効に資産運用ができるのかを解説します。

この記事を書いた人

この記事を書いているわたしは元メガバンク行員でお客さまのお金に関するお悩みの対応をしていました。家計を見直して資産を増やすためのお金の知識をお伝えします。

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改悪と言われた理由を考える

「改悪」「デメリット」と言われる理由を考えてみましょう。 

新NISAの発表がされた当初は2階建ての投資枠、1階部分で買える商品の制限、1階部分は一般NISAよりも非課税枠が減る制度案でした。

 このため「改悪された」「デメリットしかない」という声がありました。 

しかし2022年末に税制改正され新たに改正されて2階建てNISA制度の案は廃止され改正されて「新NISA」になりました。

 新NISAは現行NISAに比べて改悪どころかかなり改良されて、長期資産運用が可能で資産形成がしやすくなったメリットが大きい制度といえます。

「改悪」と言われるポイントの記事を今すぐ読む

新NISAと現行NISA5つの変更点

新NISAは現行NISAと比べて大きく改善しました。 

5つの変更点を解説します。

新NISA「つみたて投資枠」と「成長投資枠」

引用元:金融庁

現行NISA「つみたてNISA」「一般NISA」

引用元:金融庁

新NISAは現行NISAに比べると投資家にとってポジティブな改正になっています。

 

新NISAについてもっと詳しく知りたい人は今すぐ読む

成長投資枠とつみたて投資枠を同時に運用できる

新NISAでは「成長投資枠」と「つみたて投資枠」の併用ができます

 現行NISAの一般NISAを「成長投資枠」、つみたてNISAが「つみたて投資枠」の役割を引き継ぐ形となります。

新NISAの「成長投資枠」と「つみたて投資枠」

 現行NISAでは一般NISAと一般NISAのどちらかを選ぶ必要があり(併用不可)年単位での変更だったため、手続きをするのが面倒と感じる人もいました。 

しかし新NISAでは併用が可能になり、より投資者が資産形成をしやすい制度に変更になりました。

口座開設がいつでもできる

投資可能期間が「恒久化(※)」されたため口座開設がいつでもできる

※期限がなくなること

現行NISAでは2024年から新NISAが開始するため現行NISAの口座開設期間は2023年までになっています。

現行NISAは非課税期間が限られていたため非課税枠を有効活用するために、口座開設の時期を考える必要がありました。

新NISAは投資可能期間が恒久化したため投資期間を気にすることなく口座開設できます

非課税で運用できる期間が無期限になる

非課税保有期間が無期限化するため期間を気にせず運用できます

 現行NISAは保有期間が一般NISAが5年間つみたてNISAが20年間だったため、非課税で運用する時期を考えなければいけませんでした。

非課税保有期間が無期限化されたことで長期的な資産形成が可能で、自分のライフスタイルやライフプランに合わせた運用が非課税で行えるようになります。

非課税投資枠が限度額いっぱいに使える

新NISAで運用している商品の売却で非課税投資枠が翌年以降に復活する制度が加わりました。

現行NISAは売却しても非課税保有限度額は復活しないため、できる限り保有し続けて非課税枠を有効活用していました。

新NISAでは値動きをみて判断して売却する場合や急に資金が必要になったときに売却しても非課税枠が復活することから、資産運用の自由度が増した制度改革です。

年間投資可能額と生涯投資上限額が増える

 ・年間投資可能額が「成長投資枠」は年間240万円「つみたて投資枠」は年間120万円と増額になる

・生涯投資上限額は1,800万円になる

加えて新NISAは「成長投資枠」と「つみたて投資枠」の併用ができるため、年間投資可能額は成長投資枠と積立投資枠を合わせて年間360万円です。

 現行NISAはつみたてNISAは年間40万円、一般NISAは年間120万円でどちらか一方の制度の利用だったため新NISAでは資産形成の幅が広がります

 「成長投資枠」の生涯投資上限額は1800万円のうち1200万円までとなります。

新NISAと現行NISAの変更ポイントをお伝えしましたが、「改悪」といわれる制度の変更はあるのでしょうか?

除外されるファンドがあるのが「改悪」ポイント?

新NISAでは一部ファンドが投資対象から除外されます。

現行の一般NISAでは投資できていた一部ファンドが制限されます。 

除外されるファンドがあるということは投資の選択の幅が減るのかも?という疑問が出ますがそうではありません。

除外となる対象のファンドは以下の条件のある商品です。

整理銘柄や監理銘柄

・「整理銘柄」上場廃止が決まっている企業の株式

・「監理銘柄」上場廃止のおそれがある(可能性がある)銘柄

どちらの銘柄も運用や長期保有には不向きです。

投資初心者は監理銘柄と気づかず運用する可能性もあるので「上場廃止のおそれがある」時点で除外されるのは、投資者にとってむしろメリットといえます。

毎月分配型の投資信託

・毎月分配金が支払われる投資信託

・分配金は投資信託の資産から支払われる支払われた金額分投資信託の価値は下がる

毎月配当金が受けとれて得したように思いますが、実は投資したお金が払い戻されるだけなので長期の資産形成では非効率といえます。 

安定的な資産形成とは言い難いファンドのため現行NISAのつみたてNISAで対象外となっています。

 現行の一般NISAを引き継いだ「成長投資枠」からも除外されることになりました。

 

高レバレッジの投資信託 

ハイリスク・ハイリターン取引のファンド

※レバレッジ(Leverage)は「てこの力」の意味

目先の株価が上昇すると考えたときには有効で、少ない資金で高いリターンがでる場合があります。 

ただし相場が逆(下落)に動いたときは損失が大きくなります。

短期売買には向きますが長期投資には向かない商品とされています。 

信託期間20年未満の投資信託

信託期間20年未満であれば長期運用ができないから

新NISAの非課税保有期間は無期限となりました。

信託期間が20年未満だと期限を考えなければならず、ほったらかし運用ができないからです。

新NISAの改善された5つのポイント

現行NISAと比べて新NISAの改善されたポイントの解説をします。

現行NISAの3つのデメリットが軽減される

新NISAで制度が改正されることで現行NISAでのデメリットが軽減されより始めやすくなります。 

課税口座へ移管するときに含み損が確定される

非課税保有期間が終わる時に含み損(※)がでている場合、課税口座への移管時に損失確定されます。 

その後もとの水準に回復してもその分課税されます。 

引用元:カブヨム

新NISAは課税口座に移管されないので課税口座へ移管することはありません

損益通算できない

同じ年に現行NISA口座で損失、課税口座で利益が出ても損益通算できません。 

課税口座でのリターン(増えた分)全額が課税されます。

 現行NISA口座で損失がでたときにデメリットとなります。

新NISAは非課税保有期間が無期限なので課税口座に移さずリターンが出るまで保有する方法があります

損失繰越ができない

現行nisa口座では損失の繰り越しができません。 

課税口座では損失が出た時は最大3年間繰越てその年の利益と通算できます。 

現行NISAで損失がでたときにデメリットとなる。 

新NISAは非課税保有期間が無期限なので課税口座に移さずリターンが出るまで保有する方法があります

成長投資枠とつみたて投資枠が同時に使える

新NISAでは「成長投資枠」と「つみたて投資枠」の併用ができるようになります

 現行NISAでは一般NISAとつみたてNISAのどちらかを選ぶ必要があり年単位での運用の選択をしなければなりませんでした。

 しかし新NISAでは併用が可能となるためつみたて投資枠でコツコツと積立投資を行い、成長投資枠でまとまった金額を一気に投資するなど自分の目的に合わせて運用ができます。

売却後に非課税枠が再利用できる

新NISAは保有している資産を売却したときは翌年に非課税枠を再利用できます(非課税枠が復活)

 現行NISAでは売却しても非課税枠の再利用はできませんでした。 

非課税枠が再利用できるようになり現行NISAのときのように「非課税投資期間が余っているから売るのをためらう」「含み損があっても非課税投資期間中だからそのまま持っておくか迷う」など非課税の枠を有効活用したいためにでていた悩みは減っていきます。

みゆ

自分に合った資産形成ができますよ

非課税の運用に期限がない

新NISAは投資可能期間が無期限になりいつから始めても非課税保有限度額の1,800万円まで投資できます

 現行NISAは口座を開設して投資ができる期間が一般NISAは2023年まで、つみたてNISAは2042年までと決められていました。 

しかし新NISAは非課税保有期間が無期限化と口座開設期間の恒久化するため、長期運用が可能になり複利効果も期待できます。 

自分のライフイベントに合わせた運用も可能になるため目標を定めて運用をができます

新NISAを活用して資産運用するポイント

改悪というより改善された新NISAを活用して、自分らしく資産運用をするポイントをお伝えします。

目標を定めて運用する

新NISAを活用して自分の将来の目標に合わせて運用できます

 新NISAは非課税保有限度額も増え投資期間も無期限、投資枠の再利用も可能になり、より自由に資産形成ができるからです。

 結婚資金や教育資金、住宅資金、老後資金など資産運用をしながら必要な費用と取り崩し、金融商品を売買しながら運用が可能です。

 そのため「何に投資をしたらよいのか」と金融商品を考えるだけでなく、ライフイベントや将来の目標を想定しそれに沿った運用をしていけます。 

みゆ

自分の人生を豊かにするための資産運用を自由に組み立てていきましょう

「どのくらいの金額を投資できるのか」「何年後にいくら必要か」「リスクはどのくらい許容できるか」など資産形成の基本を考えて新NISAを活用するとより効果的に運用できます。

積極的に情報を収集する

金融情報や相場などニュースや新聞、インターネットの活用して積極的に投資の情報を集めていきましょう

 現行NISAでは投資先を決めて保有し続けることが多いですが、新NISAは定期的に投資先を見直すことができるため情報収集をしてより良い金融商品を探していくことをおすすめします。

無理のない投資を心がける

投資は無理のない範囲で行いましょう

投資は元本保証のない金融商品です。

余裕資金で資産運用をすることが最適ですが、将来を考えすぎるあまり今の生活を切り詰めて運用したり生活防衛費を準備することなく運用をするのは本質を見誤っているからです。

現行NISAは投資期間があったため非課税投資枠を最大限に活用するためには毎年投資枠の満額を投資しなければなりませんでした。

 しかし新NISAは投資期間も無期限です。

年間投資枠を残さず埋めなくても非課税投資枠を満額活用できます。

どちらも非課税保有限度額1,800万円を活用できている!

《毎月10万円の投資を15年間続ける》 

10万円×12か月×15年=1,800万円 

《毎月5万円の投資を30年間続ける》 

毎月5万円×12か月×30年=1,800万円

新NISAを上手に活用して生活を豊かにする投資をしましょう。

長期的に成長が見込める資産に投資をする

少額の投資でも効果的に資産を増やすために、経済成長が見込める国や地域を選び長期的に運用することが大切です。

成長があまり見込めない投資商品への投資を続けてもリターンは期待通りにはいかないからです。 

資産を大きく増やすためには20年以上の投資期間が必要とされています。

新NISAはもちろん投資全般にいえることですが、その企業や経済状況を確認して長期的に成長が期待できる金融商品に投資しましょう。

より安定的な長期運用を求めるためにインデックスファンドを推奨する投資家が多いです。

インデックスファンドについて詳しく知りたい人はこちら

よくある質問

新NISAや現行NISAについてよくある質問です。

現行NISAから新NISAへの切り替えはどうすれば良いですか?

現行NISA口座を開設している金融機関で自動的に新NISA口座が開設されます。

金融機関を変更して新NISAを始めたい場合は手続きが必要です。

新NISAはロールオーバーできますか?

新NISAではロールオーバーの手続き自体が不要となります。

ロールオーバーとは、一般NISAにおいて5年間の非課税期間が終了したのち、翌年の一般NISA買付枠へ移管し非課税期間をさらに5年延長する仕組みのことでした。

新NISAでは非課税保有期間が無制限となっているため、ロールオーバーの手続きそのものが不要です。

ロールオーバーについて詳しく知りたい人はこちら新NISAはロールオーバーできない?移行方法のポイントを解説

新NISAは何歳から開設できますか?

新NISAは18歳以上の国内居住者(※)が口座開設条件となっています。

※ 口座を開設する年の1月1日現在

新NISAとつみたてNISAは併用できますか?

新NISAとつみたてNISAは別の非課税制度となるため併用はできません

まとめ

新NISAは「改悪」?という疑問を解説しました。

改善ともいえる制度の改正で、上手に活用すると資産運用が効率的にできます。

しかし投資は元本保証のない商品で、世界情勢や経済状況によって値動きがあり100%安心安全ではありません。

情報収集を日常的に行い資産形成をしていきましょう。

本ページの内容は公開日時点での情報となります。

法令や情報など新たに追加され更新されている場合がありますので、最新情報をお確かめいただくようお願いいたします。

ノートパソコンと植物

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