ETFって難しそう、ETFは投資信託とどこが違うの?
投資初心者にとってETFはリスクが多いと感じてしまう投資の一つではないでしょうか。
ETFって仕組みが難しそう
何を選べばいいのかわからない!
まずはETFのことを簡単に解説しますね
投資信託との違いやETFの選ぶコツがわかれば選び方や気を付けることがわかりますよ!
手数料や自分の投資の損失が起こらないように気を付けながら投資を始めていきたいですよね。
この記事を書いた人
この記事を書いているわたしは元メガバンク行員で、お客さまのお金に関するお悩みの対応をしていました。家計を見直して資産を増やすためのお金の知識をお伝えします。
ETFの基本
ETF{Exchang(取引所で)Traded(取引される)Found(投資信託)}は市場取引できる投資信託です。
ETFは2種類ある
パッシブ運用型とアクティブ運用型の2種類があります。
パッシブ運用型 | 価格が日経平均株価(日経225)やTOPIX指数などの特定の株価指数や金価格など特定の指標に連動するように運用されている |
アクティブ運用型 | 連動対象となる指標が存在しない |
連動する指数は株式だけではなく債券・REIT(リート・不動産投資)・通貨・コモディティ(商品)の指数もあります。
投資先も日本から海外に広がり投資しにくい国と地域と資産に手軽に投資ができるようになりました。
ETFは一般の株式と同じように売買する
ETFは金融商品取引所で一般の株式と同じように売買されます。
運用の仕組みとして現物拠出による『現物拠出型ETF』と現物拠出によらない『リンク債ETF』があります。
現物拠出型ETF | ・ETFの代表的な商品 ・東証株価指数(TOPIX)に連動するETF ・ETFを保有することでTOPIX全体に投資をおこなっているのとほぼ同じ効果が得られる ・このTOPIXに連動するETFはTOPIXの値動きとほぼ同じ効果が得られる |
リンク債ETF | ・指標などに価格が連動する債券 |
上記以外の「投資信託の仕組みを用いていない商品」「外国の法律に基づいて作られた外国製ETFも日本の市場に上場している」ものもETFと呼ばれます。
ETFはいつでも買える
取引所の取引時間内であればいつでも売買ができます。
投資家は流通市場である金融商品取引所で証券会社を通じてETFの取引を行います。
ETFが取引できる時間帯
平日 (前場)9:00~11:30 (後場)12:30~15:00
ただし十分に注文が提示されているかどうかは確認が必要です。
ETFは国内籍と外国籍の2種類ある
ETFには国内籍と外国籍の2種類があります。
国内籍ETFは国内の金融商品取引所や大阪証券取引所に上場しているETFです。
国内籍ETF
日本株市場別ETF | ・日本の株式市場全体にまとめて気軽に分散投資できる ・TOPIXは東京証券取引所に上場する2000銘柄超の企業を対象とした指数 ・日経平均株価は東京証券取引所に上場している流動性の高い企業を中心にセクターバランスに配慮した225銘柄を対象とした指数 |
日本株大型株ETF | ・大手の有名企業にまとめて投資できる ・分配金が比較的安定している ・手軽に高配当株への投資を続けることができる ・TOPIX Co or 30(時価総額の規模に着目した指数) ・TOPIXの構成銘柄の中で時価総額と流動性が高い30企業で構成・算出された株価指数で日本を代表する大型株の動向を据えることができる |
国内籍ETFも多様化が進んでいて、日本株の指数に連動するETFばかりでなく米国の代表的な株式指数のS&P500、中国の株価指数CSI300、外国の通貨に連動するETF、コモディティ(金などの商品)の指数に連動するものもあります。
また日本の株価指数のTOPIX(東証株価指数)などに連動するETFが海外の証券取引所にも上場しています。
外国籍
・海外で組成されたETF ・外国籍ETFのいくつかは国内の金融商品取引所にも上場している(大部分は海外の取引所) |
海外の取引所に上場しているETFを取引する場合にはその取引所がある国の通貨で取引するため、為替リスクを考慮する必要があります。
ETFは取引単位が決まっている
通常は1万円から10万円程度です。
ETFは株式投資と同じように取引単位が決められています。
「最低購入金額=取引価格×1取引単位」
TOPIX連動型などは10口単位での購入になる
少額から始めたい人はETFではなく投資信託が向いています。
投資信託は販売会社によっては100円から購入できるところもあります。
ETFへの投資がおすすめな人
ETFへの投資へは下記のような人におすすめです。
・コストを抑えたい
・自分でポートフォリオを組みたい
・好きなタイミングで取引をしたい
日経平均株価やTOPIXの指数に連動して価格が決まっていくので自分に有利なタイミングで好きな銘柄に投資できます。
ただし自分で注文する必要があり分配金も手動で再投資する手間がかかります。
ETFとインデックスファンド(投資信託)の違い
ETFもインデックスファンドはともに長期的にリターンを挙げられてリスクが低く手間がかからずコストが低い投資方法です。
しかしETFとインデックスファンドには大きく分けると4つの違いがあります。
ETFは上場していてインデックスファンドは上場していない
ETFは投資信託ではありますが上場投資信託のため株式と同じように証券会社を通じて証券取引所に買付や売却の注文を出します。
売買単位が決まっていて売買単位ごとで注文します。
インデックスファンドは上場投資信託ではない投資信託なので上場していません。
投資にコストがかかるがETFが安い
ETFもインデックスファンドも投資信託なので購入時手数料や信託報酬がかかりますが、ETFのほうが比較的安くなっています。
信託報酬は信託財産の中から「純資産総額に対して何%」毎日差し引かれます。
ETFの信託報酬は0.3~0.5%、インデックスファンドが0.5~1.0%のものが多いです。
信託報酬は保有し続ける限り発生するコストなので長期保有する場合は重要です。
売買のタイミングは違う
ETFもインデックスファンドも投資信託ですが売買のタイミングは違います。
ETFは取引所の取引時間内であればいつでも売買が可能です。
インデックスファンドは投資信託なので1日1回算出される基準価額で1日1回しか取引できません。
ETFは信用取引による取引ができる
ETFは株式と同様に売買することが可能なので信用取引ができます。
ETFを利用して行う信用取引は従来の株価指数先物(TOPIX、日経平均株価)に比べて少額でも利用可能になっています。
・証券会社や銀行を通じて株式や債券などの金融商品を取引するときに実際に保有していない資産を使って取引する仕組み
・自分のお金を全額使わずに借りたお金も使って取引を行うことができる方法
リスクも高まるため慎重な取引が必要です。
ETFと株式投資の手数料の違い
ETFも投資信託の一つですが、取扱いが違うものがあります。
株式 | ETF | 投資信託(ETFを除く) | |
販売会社 | 証券会社 | 証券会社 | 証券会社・銀行 |
上場・非上場 | 上場 | 上場 | 非上場 |
取引可能の時間帯 | 証券取引所の取引時間(※) | 証券取引所の取引時間(※) | 原則15時までに申込み |
取引価格 | 市場での時価(成行注文・指値注文) | 市場での時価(成行注文・指値注文) | 1日1回出される基準価額 |
信用取引 | できる | できる | できない |
購入時の費用 | 売買手数料 | 売買手数料 | 購入時手数料 |
保有期間中の費用 | なし | 信託報酬 | 信託報酬 |
売却時の費用 | 売買手数料 | 売買手数料 | 信託財産留保額 |
ETFは株と同じように上場しており証券取引所で売買されるため、売買方法や費用は同じです。
ETFも投資信託の一種のため信託報酬が発生し、ETFのほうが比較的安くなっています。
ETFは投資信託の一種だけど株式の取扱いの要素があるから違いを覚えておこうね
投資信託にかかる手数料の詳しい解説を知りたい人はこちらへどうぞ
ETF6つのメリット
ETFのメリットをお伝えします。
初心者でも始めやすい
少額からの投資が可能で初心者でも始めやすくなっています。
株と同じような売買方法ですが最低投資金額が安く2万円以下で売買可能なETFが多くあります。
自分で東証株価指数(TOPIX)に連動する株式投資を行おうとする数十億円単位のまとまった資金が必要となる
取引手数料が株式同様に安いことも初心者におすすめの理由の一つです。
手軽に分散投資ができる
株と異なりETFは約70%の銘柄で最低投資金額が2万円以下です。
投資金額が低いので複数の銘柄に分散投資をしてポートフォリオを組むのも簡単にできます。
いまではどこの証券会社でいろいろな種類のETFを購入でき自分のポートフォリオに足りない投資先や投資資産にETFを選んで組み合わせることも簡単にできるようになりました。
値動きが分かりやすい
インデックスファンドや株価指数などの値動きに連動するよう運用・管理されています。
株価指数は新聞やニュースなどよく見聞きするので、初心者でも値動きがわかりやすく自分の持っている運用商品の動きがわかります。
いつでも売買できる
証券会社に口座があれば取引所でいつでも売買できます。
取引できる時間帯は取引時間中(平日9:00~11:00、12:30~15:00)で、株式と同じように指値注文・成行注文ができ相場を見ながらリアルタイムで売買できます。
引用元:カブヨム
指値注文 | 特定の価格で取引を行うための注文 |
成行注文 | 指定した金額ではなく市場での現在の価格で取引を行う注文 |
投資初心者なら「指値注文」がおすすめです!
初心者のうちは相場の動きがよくわからず焦ってしまうからです。
考えていた価格とは異なる価格で購入してしまう可能性があるので気を付けましょう。
もっと詳しく知りたい人はこちらから
国内籍・外国籍の種類がたくさんある
種類が多く個人投資家では難しい海外などの投資先にも投資できます。
国内籍 | 国内・海外株式。国内海外債券。J-REIT(リート)海外REIT。コモディティ(商品)。レバレッジ型・インバース型 |
外国籍 | 国内・海外株式。国内株式債券。J-REIT(リート)海外REIT。コモディティ(商品)。レバレッジ型インバース型 |
以前は海外資産のETFに投資をするために海外籍ETFを購入できる証券会社を選んでいましたが今はどの証券会社でも購入できるようになりました。
信用取引で売買できる
ETFは信用取引ができます。
株式と同様に売買することが可能だからです。
信用取引とは自分のお金を全額使わず借りたお金を使って取引を行うことができる方法
証券会社や銀行を通じて株式や債券などの金融商品を取引するときに、実際には保有していない資産を使って取引する仕組みですが、リスクの高い取引なので特に投資初心者は注意が必要な取引です。
ETF4つのデメリット
ETFでの取引を開始する前に知っておきたいデメリットを解説します。
分配金が自動的に再投資されない
ETFは分配金を出す仕組みがありますが、分配金は自動で再投資する仕組みがないため再投資する場合は手動で買い付けを行う必要があります。
決算期間中に発生した利子や配当などの収益から信託報酬などの費用を控除した全額を分配します。
つみたてNISAの取扱いが少ない
つみたてNISAで取り扱われているETFは一部の証券会社では取扱いがあるだけで限定的で少ないです。
つみたてNISAを始めていてETFにも興味がある場合は取扱数が少ないので、自分が口座を開設している証券会社で取扱いがあるか確認してみましょう。
価格が乖離の可能性がある
ETFは上場しているために基準価額と市場価格の間に乖離が発生する可能性があります。
買いたい人がたくさんいる場合基準価額よりも市場価格が高くなり(プレミアム)本来の価値よりも高く買わざるを得ないことがあります
ETFには上場株式としての「市場価格」と投資信託としての「基準価額」の2つの価格があるのでこのような状態が発生する場合があるからです。
過去1ヵ月、6ヶ月、1年などの市場価格・基準価額・乖離率の表を証券会社のホームページなどで確認できる場合があります。
【2つの価格の差について】
割高(プレミアム) 市場価格>基準価額
割安(ディスカウント) 市場価格<基準価額
特定日のETFの終値と基準価格(一口あたりの純資産価格)とを比較して、ETFの値段(市場価格)が基準価額(一口あたりの純資産価格)よりも高ければプレミアム、安ければディスカウントと呼びます。
乖離率の算出方法
前日市場価格÷前日基準価額を1口あたりに換算した値の割合
乖離率が0%になることはありませんが、0%にできるだけ近いことがポイントです。
0%に近い水準で推移しているほど基準価額に近い水準で売買されているといえます。
自動積立投資ができない場合がある
ETFは自動積立投資することが難しい投資対象です。
たとえば10万円毎月ETFを積立投資したい場合
ETFは株式と同じように値段×1単元(取引単位)の口数(100口、10口、1口など)の決まった数でしか買付できないので10万円という決まった金額の買付ができません。
例えば・・・
上場インデックスファンド日経225(ミニ)の2023年8月10日の終値は2,587円で1単元(取引単位)は一口です。
証券会社に支払う売買委託手数料は今回は割愛して10万円分を買おうとすると、38口買って1,694円残すことになります。
上場インデックスファンドJリート隔月分配型では2023年8月10日終値は1,913円で1単元(取引単位)は100口です。
買付に必要な最低金額は191,300円となり10万円では買付ができません。
毎月同じ金額で積立をすることが難しいことがわかりますね!
ETF投資商品の選び方
ETFを選ぶときの8つのポイントをお伝えします。
過去の運用実績を確認(比較)する
投資したいと思うETの販売会社やホームページから過去の運用実績を確認しておきましょう。
直近の実績ではなく長期間の運用実績を見ることが大切です。
1つだけではなくいくつかの商品の実績を比較しておくとより良いです
投資コストと経費率や手数料を確認する
運用コストで意識したいのは「経費率」です。
経費率が低いほど保有コストが低いことを意味しています。
【経費率】
投資信託やETFを運用するために必要な費用が純資産総額に対してどれくらの割合かを示したもの
運用コストを確認するのはとても大切です。
投資対象の銘柄や特徴を理解しておく
ETFの内容をしっかり確認しておきましょう。
各ETFの「ファンド概要」にはどのインデックス連動を目指しているのかが記載されています。
主要な構成銘柄なども確認してファンドのイメージをつかんでおきましょう。
純資産残高を確認する
純資産残高とはETFや投資信託が保有している資産の時価評価額のことです。
ファンドの運用資金でありファンドの人気度を図ることのできるポイントです。
運用会社ホームページや月次報告書で確認しておきましょう。
流動性が高いものを探す
流動性が高い(売買高が多い)銘柄はETFを売買するときにすぐ約定(※)するのでおすすめです。
※約定:株式取引などで売り手と買い手の条件が一致して売買が成立すること。
注文しても条件に合う取引相手がいなければ約定にはいたりません。
ETFの流動性が低く売買高が少ない銘柄は希望する価格で売買が成立しないことがあるので気を付けましょう。
分配金の利回りや回数を調べておく
ETFは投資信託と同様に分配金を出す仕組みがあります。
一般的なETFの分配金の利回りは1~2%程度です。
利回りが4~5%と高いものもあるので、分配金を狙っている人は分配金利回りが3%以上の銘柄を探してみるとよいです。
分配金の回数は年1回のところもあれば年4回支払っているところもあるので事前に確認しておきましょう。
リスク・リターンを確認しておく
詳しい内容はパンフレットや目論見書でも確認することができます。
販売会社のホームページなどで「月次レポート」があり毎月の運用報告書を見ることができます。
・毎日の値動きの大きさ
・不況時にどのくらい下落したのか
・自分が運用しようと考えている運用年数でどのくらい上昇したか
売買方法と注意すべきポイント
ETFは証券会社を通じて株式と同じように売買できます。
どこの証券会社からでも原則的に購入可能ですのでまずは証券会社に口座を開きましょう。
通常の株式と異なる特別なルールはありません。
ETFの買い方STEP
証券会社や銀行などで口座開設ができますが、手数料が低く抑えられているネット証券がおすすめです。
まずは利用する証券会社を選びましょう。
証券会社にそれぞれメリット・デメリットがあるので自分の投資スタイルや投資金額に合う証券会社を選ぶのがおすすめです。
ネット証券であれば設定した銀行口座からインターネット上で入金作業ができます。
ETFは「上場投資信託」なので株式投資と同じように証券取引所が開いている時間帯であればリアルタイムで売買できます。
①何口買うか決めましょう
最低取引単位はETF銘柄によって異なります。
②指値注文と成行注文のどちらにするか決めましょう。
もっと詳しく知りたい人はこちらから
③外国籍ETFを買う場合は外貨建てか円建てかを決めましょう。
外貨建ては投資するときに一度円を外貨に変えなければいけないのでその分の手間がかかります。
円建ては日本円で取引できますがその分為替手数料がかかります。
初心者におすすめのETFは「日経225連動型のETF」といわれています
日本の株式市場の値動きとほぼ同じ動き方をするのでニュースなどで簡単に情報を得ることができるからです
売買が成立したら完了です。
おつかれさまでした!
よくあるQ&A
ETFについてよくある質問です。
- ETFで損失が出た場合はどうすればいいですか?
-
・株式投資信託を売却した場合、上場株式等の譲渡所得等となります。
売却・償還による損失は投資信託、株式の譲渡所得と通算可能です。
・申告分離課税の場合、トータルでの損失は配当所得と譲渡損との損益通算が可能です。
損失は3年間繰り越せます。
制度の詳細や注意点は下記をご覧ください。
- 日本のETFで株主優待はもらえますか?
-
ETFでは株主優待はもらえません
取引できる商品が多く魅力的なETFですが投資信託の一種なので、そのETFを通じて優待銘柄に投資していたとしてもその銘柄の株主にはなれないので注意が必要です。
まとめ
ETFは多くの銘柄に投資をしていることから一つのETFを持つだけでも分散投資ができるようになります。
自分のポートフォリオに足りない資産をETFで補ったり興味のある投資先のETFを選ぶことができる自主性の高い投資方法です。
投資が初めてで「難しい」と思ったときはテレビや新聞などでよく見聞きする日経平均株価や東証株価指数(TOPIX)に連動する商品で値動きをしっかり確認できるようにしましょう。
運用迷子にならないようにETFと投資信託を上手に活用していきましょう。