投資信託を始めようと思っていたら「手数料」がかかることがわかって戸惑う人も多いのではないでしょうか?
手数料や税金で差し引かれたら預金と変わらないと思ってしまいますね。
投資信託に興味があるけど手数料がかかるみたいね
たくさん手数料を引かれるのなら始めたくないな
どんな手数料かかるのか、どれくらいの金額か理解できれば初めての投資信託でも怖くないですよ
投資信託はたくさんのお客さま(投資家)から集めたお金をまとめ、それを資金として運用の投資家が投資・運用を行い、得た成果を投資家に分配する金融商品のことです。
運用の専門家は集めた資金を国内外問わず債券・株式・不動産などに分散させて運用しますが、その時に手数料が発生します。
この投資信託でかかる手数料の種類や金額、計算の仕方をお伝えします。
・投資信託の手数料の種類や意味がわかる!
・手数料をどうすれば安くできるのかわかる!
・投資信託を始めるときに手数料の投資リターンがわかる!
この記事を書いた人
この記事を書いているわたしは元メガバンク行員で、お客さまのお金に関するお悩みの対応をしていました。家計を見直して資産を増やすためのお金の知識をお伝えします。
投資信託を始めるにあたり知っておきたい5つの手数料
投資信託には5つの手数料があります。
手数料の種類とどのタイミングでどのくらいかかるのかを解説します。
『購入時手数料』は購入するときに支払う手数料
投資信託を購入するときに販売会社に支払う、一度だけ発生する手数料です。
ファンドや販売会社によってはこの費用がかからない場合もあります(ノーロード)。
投資信託を1年で解約するつもりなら手数料がもったいないからノーロードファンドがいいんじゃないかな?
購入時手数料は証券会社などの販売会社がある程度自由に設定できるので、同一商品でも販売会社によって異なる場合があるので注意しましょう。
『信託報酬(運用管理費用)』は運用期間中に支払う手数料
信託報酬は運用期間中(保有期間中)に信託財産から間接的に信託報酬が差し引かれます。
運用管理にかかる費用をまかなうもので、運用会社・販売会社・信託銀行の3社で配分されます。
投資信託を保有している間、投資信託の保有額(純資産残高)に応じて日割りで支払う費用で、目論見書(もくろみしょ)には「年率」で記載されています。
【例】
信託報酬0.0969%の場合、10万円を1年間保有して必要な信託報酬は96.9円
信託報酬は信託財産から費用として引かれるものです。
信託報酬は低いほうが有利ですが、信託報酬が高くても成績が良い投資信託であれば信託報酬を支払う価値があるともいえます。
手数料が高い場合、連動する指数が上がっているのに「自分の投資信託が思ったように上がっていない」と感じるかもしれないので、信託報酬の割合はしっかり確認しましょう。
『売買委託手数料』は運用期間中に支払う手数料
投資信託が投資する株式などを売買する際に発生する支払う費用で、発生のたびに間接的に徴収されます。
運用の結果発生する費用なので、事前にいくらかかるかを示すことはできません。
投資信託内で頻繁に売買を繰り返すような商品は高く売買が少ない商品は低くなる傾向があります。
『監査報酬』は運用期間中に支払う手数料
投資信託は原則決算ごとに監査法人などから監査を受ける必要がありその監査に要する費用を投資信託保有時に間接的に支払います。
※信託財産:投資信託が保有している資産のこと
投資信託の経理が正確に行われているのか、第三者である監査人が監査することにより投資信託の公平性・浸透性の確保にもつながっています。
『信託財産留保額』は解約するときに支払う手数料
投資信託を購入または解約するときに手数料とは別に徴収される費用です。
販売会社が受取るのではなく信託財産に留保されます。
解約するときにかかる手数料ですが、かかるファンドとかからないファンドがあります。
保有中は他の人が売った分が信託財産留保額として入ってくる一方、自分が売る時は同じ分だけ支払うことになります。
信託財産留保額は本質的にコストとは言えないものなので、支払いが明記されていてもそこまで気にする必要はありません。
投資信託で手数料を安く抑える3つの方法
投資信託を購入するときに手数料を抑えるための方法をお伝えします。
購入時手数料がノーロードの商品を選ぶ
ノーロードの商品は購入時手数料がかかりません。
投資信託の販売手数料のことをロード(load)と呼ぶことからノーロード・ファンドと言います
購入時手数料がかからない分、コストを抑えることができます。
これらの金額によっては、ノーロードであってもトータルコストが高くなる可能性があります
信託報酬が安いインデックスファンドを選ぶ
信託報酬の安いノーロードのインデックスファンドを選びましょう。
低コストのインデックスファンドは金融機関にとっては売っても儲からない商品なのであまり目立ちませんが、主にネット証券での取扱いとなります。
対面での証券会社は取り扱っていないことのほうが多いです。
信託財産留保額がない商品を選ぶ
信託財産留保額がない投資信託は、運用を続けている人が解約にかかるコストを負担する仕組みとなっています。
解約・換金のときに手数料をかけないように信託財産留保額ができるだけかからない商品を選ぶのも一つの方法です。
ノーロード4つの注意点
ノーロードの商品は購入時手数料がかかりませんが、知っておきたい注意点があります。
ノーロードには2種類のファンドがある
ノーロードにはインデックスファンドとアクティブファンドの2種類があります。
投資初心者はインデックスファンドが良いといわれています。
インデックスファンド | ・株価指数などの指標に連動した運用を目指す投資信託 (日経平均株価やNYダウなどの市場全体の値動きを表す指標) ・シンプルでわかりやすい ・コストが安い |
アクティブファンド | ・運用会社やファンドマネージャーが独自の見解や投資の判断に基づき、ベンチマーク以上の収益を目指すファンド(指数を上回るリターンの獲得を目指す) ・市場を上回るリターンを目指す ・さまざまな投資対象や運用方法のファンドがある |
※インデックスとは「指標」ファンドとは「投資信託」のこと
ノーロードはインデックスファンドに多い傾向があるので、リターンの大きい商品を選びたいときにノーロードでは投資したい商品がみつからないこともあります。
投資対象は「資産」と「地域」がある
投資信託の投資先を分類すると「資産」と「地域」に分類されます。
投資信託の運用対象の「資産」は債券・株式・不動産(リート)、「地域」は国内・海外(全世界・先進国・新興国など)があります。
投資信託の運用対象『資産』
株式 | 株式会社が資金を出資してもらった人に対して発行する証券 |
債券 | 国や地方公共団体・起業などが資金調達のために発行する証券 |
不動産(REIT) | 多くの投資家から集めた資金でマンションやビル・商業施設などの不動産施設を購入して家賃収入・売却益などを投資家に還元する投資商品 |
その他資産(コモディティなど) | 原油・金・銅などの現物資産 |
投資信託の運用対象『地域』
日本 | 国内の投資資産への投資 為替の変動なし |
海外(先進国) | アメリカ・イギリス・EU諸国など 経済が大きく発展している国 為替の変動リスクあり 新興国に比べて政治・経済は安定 |
海外(新興国) | アジア・中南米諸国など 今度高い経済成長が期待される国 為替の変動リスクあり カントリーリスク(※)が高い |
※カントリーリスク:投資している国の政治・経済などの不安定性からくる証券市場の混乱・下落に直面する危険性
投資信託は商品によって投資対象がさまざまなので、投資家に投資信託の投資対象を簡潔に理解できるよう「投資信託協会」では統一的な投資信託の分類方法である「商品分類」を制定しています。
投資信託がどの資産に対して主に投資し収益の源泉とするのかがわかりやすく分類されていて、投資信託の説明書(目論見書)の表紙などに記載されている
ノーロードでも購入時手数料以外のコストはかかる
ノーロードでも信託報酬・監査報酬・売買委託手数料・信託財産留保額などのコストはかかります。
ノーロードが必ず費用が安いとは言い切れないので、購入のときは購入時手数料以外の費用の負担や投資のメリットを総合的に考えるようにしましょう。
運用実績次第で損失が発生する可能性もある
過去の運用実績は今後の運用成果を保証するものではないですが、ファンドを選ぶときの参考として確認しておきましょう。
最近のものだけではなく、なるべく長期間の運用実績を確認するようにします。
投資対象や運用方法が同じファンド同士(たとえば日本株を投資対象とするインデックスファンド同士など)比較して運用実績をくらべてみると運用実績の違いがわかります。
手数料が投資リターンに及ぼす影響とよくある質問
投資リターンとは投資に対する収益率で投資額に対してどれだけ利益を生み出しているかを見るものです。
投資リターンとその計算方法について
投資手数料は複利効果(コンパウンド効果)にも影響を与えます。
手数料をひかれた場合その金額は、手数料がなければまた複利で増えるべきだった資産ということになります。
手数料などのコストがリターンをどの程度影響があるのかを理解しておきましょう。
【例】
年率10%のリターンを得る投資を10万円したとするとその手数料が2%だとしたら実質的なリターンは8%
手数料がなければ11万円のところ
10万円+{10万円×(年利10%-手数料2%)}=10万円+{10万円+(1万円-2千円)}=10万8千円
よくある質問について
よくある質問を載せておきます。
- 投資信託で手数料負けってどういうことですか?
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投資信託の手数料負けとは、投資信託を購入するときに発生する手数料や維持費用(経費率)が高すぎて、その投資のリターン(利益)を上回られず、結果として損失を被ることを指します
- 投資信託の手数料はどこで確認できますか?
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目論見書(もくろみしょ)やHPに記載しています。
※目論見書とは、有価証券の募集や売り出しのときに投資家に交付する重要な文書のことです。
まとめ
投資信託での資産運用では手数料や税金などのコストを減らして、資産を増やしていくことが大切です。
手数料の安い投資信託を選んだり、NISAやつみたてNISAなどの非課税制度も上手に活用していきましょう。
ただし、手数料が安ければ必ず資産が増える、手数料が高ければ必ず損をするわけではありませんので運用状況も確認していきます。
投資信託は銀行の預金のように元本が保証されている金融商品ではないのでよく確認して投資信託で資産が増えるように運用していきましょう。